浄土真宗は『大無量寿経』によってお浄土を説く教えです。
そのお浄土はどこにあり、どういただけばよいのでしょうか。
浄土に対して、私たちが住んでいるこの娑婆(しゃば)を穢土(えど)といいます。私たちの煩悩によって穢(けが)された世界です。私たちは毎日毎日煩悩によって業をつくりこの世を汚しているのです。
しかし、私たちがこの事に目覚めて生きるということは容易ではありません。
この目覚めることなく迷っていく我ら衆生に対して、阿弥陀如来は迷いを超えたまことの世界に一人残らず救い取りたいという大願を起こされたのです。
計り知れない永却の時を経て、この願いはかない、大悲によって荘厳されたお浄土は成就されたのです。そしてお浄化から「我が名を称えて我が国に還れ」という大悲の呼び声が南無阿弥陀仏と聞えてくるのです。
お浄土こそは「我らのいのちの本来の世界」であり「懐(なつ)かしい魂の故郷」であったのです。
そして私たちが執着してやまないこの娑婆は「他郷(たきょう)であったと知らされるのです。
お浄土はこの娑婆を生きる悲しみや苦しみのなかにお念仏申すところにいただけてくる世界です。 (老僧)